原因

 ロタウイルスという名の病原体による伝染病です.糞便から手や玩具などを介してうつります.毎年冬から春にかけて乳幼児に流行ります.

症状

 突然始まる頻回の嘔吐や発熱で発症します.咳などカゼ症状を伴うことも有ります.やや遅れてひどい下痢が始まります.下痢は黄色から白色水様便で,1日数回から十数回に及ぶことが有ります.1週間くらいで治りますが,治療を誤ると2〜3週間以上続くことも有ります.

治療

 小腸の粘膜がひどくいたんでいますので消化吸収力が極端に落ちていす.こういう時は下痢止めを飲んでもあまり効きません.おなかを冷やさないように大事にして自然にダメージを受けた小腸粘膜が再生するのを待たねばなりません.脱水症状がひどくならないよう水分の補給をこまめ(少しずつ)にします.

家庭での注意

  脱水の予防がもっとも重要な家庭看護です嘔吐がひどいときは更なる嘔吐を防ぐため3時間くらい絶食にします.吐けば吐くほど脱水がひどくなります。下痢止め薬は嘔吐が止まるまで飲ませない方が良く、坐薬の吐き気止めは使用してもかまいません.
 
 吐き気が改善してきたら,湯冷まし,麦茶,番茶,あるいは重湯をみそ汁の上澄みで薄めた液を1回20〜30mlづつ20〜30分毎に与えます.
 吐き気が無く、下痢がひどい時は,アクアライトなどのイオン飲料,成人用のポカリなら 少し薄めて欲しがるだけ飲ませて下さい.

 食事は乳児なら母乳はそのまま,ミルクは1/2位に薄めるかあるいは下痢用のミルク(ノンラクト;森永,ラクトレス;明治など)野菜スープなどを与えます.離乳食は重湯,つぶし粥なら与えてもかまいません.幼児では粥,幼児用せんべい,煮込みうどん,豆腐,良く煮たジャガイモをつぶしたもの少しずつ食べさせます.フルーツ類,生野菜は完全に良くなるまで禁です.消化の悪いものを早めに与えますと下痢がふたたび悪化して治りにくくなります.

  脱水がひどくぐったりしているときは点滴して水分を与える必要があります.
 おしっこが出ない状態が続いたり,意識がもうろうとした状態のときは入院しなければなりません.
ロタウイルス腸炎